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有松は、高音部(サビの部分)を持った起承転結形式の、明らかに誰かが作曲したと思われるやや長い曲(20行)です。一応、二部形式とも言えますが、A(a+b)+A'(a+c+c)+B+A''(a+c+b)の構造を見ると、複合三部形式と言った方が良いのかもしれません。
笠寺ではこの有松を、Bの高音部の後半から吹き始め、A''の最後まで吹いてから曲の先頭に戻り、そのままずっと進んでBを通り越し、A''のaの部分まで行って終わるという吹き方をし、早目という名前で呼んでいます。笠寺でも、有松の方がオリジナルであることは十分承知しているのですが、なぜかほとんど早目の方の吹き方をします。
有松にしても早目にしても、よく似たフレーズが入り組んで出てくるので、曲全体のどのあたりを吹いているのかをちゃんと意識していないと、吹いている場所がわからなくなってしまいます。
亀崎・知立・大府などでは、この有松は曲目の中に無く、そのかわり、有松に相当する新車という曲があります。A'の最初のcの部分からA''のaの部分が新車の表に相当し、A''のc+bの部分が新車の裏に相当します。
また、亀崎・知立・大府などの新車・新車裏の曲は、笠寺系にはありません。
おそらく、有松という曲が古くからあって、それを編曲したものが亀崎・知立・大府などに広まって、新車・新車裏と呼ばれるようになったのだと思います。 |