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この曲は、道行に使われるようなゆったりしたテンポの曲ではなく、アップテンポで景気が良くて、とてもノリのよい曲です。いさみ囃子の一種と言えるのかもしれません。
植田囃子の「植田」の由来ですが、はっきりしたことはわかっていません。ただ、植田(名古屋市天白区植田)という地名と関係がありそうです。植田は、笠寺・大府・日進の三角形のちょうど中心に位置します。
大府で呼ばれている阿野囃子も、きっと阿野(豊明市阿野町)という地名(昔の阿野村)と関係していると思います。
いずれにしても、宮流神楽とは全く別のもので、名古屋市東南部〜日進〜豊明〜大府あたりの比較的狭い範囲に広がっている土着のお囃子ということでしょう。宮流神楽は幕末〜明治初期にかけて急速にこの地域に広がったものですが、その前から土着の里神楽はあったはずで、この植田囃子は、宮流神楽が広がる以前からあった古い曲ではないかと、私は考えています。
庄中囃子という雰囲気が良く似た曲がありますが、分布範囲も良く似ており、江戸時代ぐらいに同じような広がり方をしたのかもしれません。
なお、植田囃子は基本的に4拍子ですが、笠寺系はフレーズの区切りのところで一瞬2拍子になり、つっこんだリズムでノリを出しています。日進のはやしは、そういう変則リズムが無い普通の曲で、笠寺系よりサビの前の部分が長いです。 |