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この曲は、「神迎え/おかめ」と共に、非常に広く伝承されています。ほとんど、宮流神楽が伝承されているところには、必ず有ると言っても良いでしょう。しかし、「神迎え/おかめ」は、「一番最初に演奏して神を迎える」という曲の役割がはっきりしているのに対し、この曲がどうして重要視されているのかは、はっきりしません。ただ、御神前という言葉からして、この曲に何らかの神事での役割があったのかもしれません。曲が簡単という意見もありますが、笛は必ずしも他と比べて特に簡単とは思えないです。
笠寺資料では、この曲は、猿投神社が熱田神宮から分祠されたときに、その神事のために作られたとの由来が書いてありますが、史実であるかどうかは不明です。
笠寺では、最近は「さん三つ下がり」と呼ばれていることが多いようですが、文献を含め、以前は「佐京神楽」という名前の方が一般的だったようです。文献(半田市誌)では、ボタン獅子とも呼ばれると記載されていますが、現在の笠寺保存会ではその名前は通用していないようです。
「さっきょう」は、「作興」という漢字を当てている地域もありますが、名前の由来は佐京神楽と同じと思われます。
笠寺や大府で呼ばれている「さん三つ下がり」の意味は、よく良くわかっていません。ただ、日進では三人舞と呼ばれており、3の数字には何らかの関連がありそうです。また、四方正面という言葉は、能などの舞で、四方向どちらから見ても良いような演出をすることを指しているのでしょう。これらのさん三つ下がり・三人舞・四方正面という呼び名は、曲自体よりも巫女舞の特徴を表している言葉かもしれません。
漢字に関しては、大府の横根版では「三光下がり」と書いてあります。
笠寺では、曲の吹き方には2種類あって、一番最初の部分が全閉(●●●●●●●)で始まる「下の手」と呼ばれる吹き方と、五六(●●○○●●●、●○○○●●●)で始まる「上の手」と呼ばれる吹き方があります。亀崎系(亀崎・知立・大府)のメロディは、上の手の吹き方に近く(というよりほぼ同じ)、下の手に相当するものはありません。
現在は、笠寺でも上の手で吹くことがほとんどですが、かなり以前は、子供も下の手で教えられていたという話があります。高針郷は、太鼓は亀崎系の打ち方ですが、笛は下の手です。中根は、太鼓は笠寺系ですが、笛は上の手です。もっと面白いのは、日進(梅森)では、1番が下の手で2番が上の手です。 |