宮流神楽 曲の解説  前の曲へ 次の曲へ 上のページへ トップページへ
梵天返し / お天道の裏

いろいろな呼び名
梵天返し --- 亀崎(現在版、間瀬版)
下がり葉 --- 知立(幸村版)
くずれ葉 --- 大府(横根版)
岡崎 --- 大府(北崎版)
お天道の裏 --- 笠寺
神楽崩し --- 春日井(白山)
? --- 日進(本郷)
とんび --- 中志段味
曲名不明4本目 --- 下志段味

音源
演奏音源: 梵天返しお天道の裏 練習音源: 梵天返しお天道の裏

楽譜
宮流系: 宮流神楽練習用楽譜 熱田系: 熱田神楽練習用楽譜

解説
この曲は9行あり、亀崎も笠寺もメロディは非常に近いです。ただ、亀崎・知立では一番も二番も9行を完全に吹くのに対し、笠寺などそれ以外の地域では、一番は9行とも吹いて二番は最初の5行でお終いとなり、結びに入ります。
亀崎の現在版では、9行を2回完全に吹くようになっていますが、間瀬版では、笠寺系や大府などと同じように二番は5行でお終いとなり結びに入るように記載されているので、二番は最初の5行でお終いになるのが、おそらく基本的な吹き方だと言えるでしょう。

この曲の9行の構成を詳細に見てみると、前半の5行と後半の4行に大きく分かれます。4・5行目と8・9行目は全く同じフレーズで、3行目と7行目は少し違うだけで非常に似ています。1行目と2行目も良く似たメロディです。
これから考えると、2〜5行目がもともとの曲で、1行目はかかり(前奏部分)、6〜9行目は2〜5行目の繰り返しで、6行目は間奏的に違うメロディに変え、7行目は微妙に変えただけ、8・9行目は全く同じの繰り返し、という構成だと思います。
この手法は御神能ー>古浦坂のタイプのアレンジによく似ていますが、この梵天返しの2〜5行目に相当する曲は、明らかなものは見当たらないです。

この梵天返しの最初の5行は、神明や神明崩しの最初のセクション(7行、亀崎の崩しだけは6行)のうちの1・2行目+5〜7行目に、何となく似ているのかなという気もしていますが、他人の空似というやつかもしれません。

亀崎の梵天返しの裏と呼ばれている曲は、亀崎独自のもののようで、亀崎で編曲された可能性が高いです。1番は普通の梵天返しと同じで、2番の1行目は1番と同じ、2行目は6と8の音が交互に続く高音部、3行目は1番の3行目に近いが少し違うもの、4・5行目は1番と同じで、それでお終いになります。
全体で見ると、1番が5行+4行で、2番の前半は高音部、2番の後半はもとの繰り返しで、起承転結のパターンをとっています。

大府の横根版には「津島くずれ葉」という曲がひとつの曲として楽譜に載っていますが、よく見ると津島下がり+くずれ葉(=亀崎の梵天返し)なので、このサイトでは独自の曲としては取り扱いませんでした。津島下がりと梵天返しは曲の最初の2小節がまったく同じなので、この2つの曲は何らかの関連性がある可能性もあります。ですが、それ以上のことは何もわかっていません。

多くの地域で吹かれており、名前もそれぞれたくさんありますが、今ひとつ他との関連性がはっきりしません。亀崎の梵天返しは梵天との関連性は不明、知立の下がり葉はたぶん能の下がり端(下がり羽)から来たもので、くずれ葉もそこから派生したものでしょう。大府の岡崎は、岡崎(亀崎の宮神楽、笠寺のお猿)と混同したものと思われます。笠寺のお天道の裏もお天道との関連性ははっきりしません。中志段味のとんびも、他の地域では津島下がりを指していることもあり、最初の部分で高い音(6の音)が続くことからとんびの鳴き声を連想した可能性が高そうです。


前の曲へ   次の曲へ
 トップページに戻る 上のページに戻る  メールを送る