|
出来町という名前が付いていますが、出来町の山車(鹿子神車・河水車・王羲之車)のお囃子に、この曲と関連がありそうな曲は、今のところ見つかっていません。亀崎の御神能は、出来町河水車の帰り囃子を編曲したものであることは確かで、その御神能のことを幸村元一氏は出来間地(できまち)と呼んでいるところをみると、そのあたりと入れ違った可能性もあります。ただ、幸村元一氏はこの曲を岡山と呼んでいますが、岡山という言葉が何から来ているのかはよくわかりません。
曲の音階部分を見てみると、宮神楽・富佐・出来町の3曲は、3の指使いの音がフレーズの最初から出てくることが多く、また3の指使いの音の出現頻度も多く、他の神楽の曲とは、ベースになっているスケール(旋法)が微妙に違う気がします。
全体では6行の構成ですが、大きく前半の3行と後半の3行に分かれます。
1行目と3行目の1〜2小節目は同じで、3−3566となっており、2行目の1〜2小節と3行目の2〜3小節目は同じで、6756232八となっています。2行目の1小節目が3−35だったものがカットされていると考えれば、1行目がかかり(前奏)の部分で、2・3行目は同じフレーズの繰り返しとも考えられます。
3行目の4小節目は232八六となっていますが、これが4〜6行目のテーマとなっています。4行目は1〜2小節目と3〜4小節目が同じですが、2と4小節目と後半にそのテーマが出てきますし、5行目は1小節目と2小節目、6行目は1小節目にそのテーマが出てきます。
また、この出来町の後半には、八の指使いがフレーズの始まりに頻繁に出てきます。師匠の話では、「半拍の八と1拍の八があり、きちんと吹き分けないといけない」そうです。半拍の八は装飾音符で、1拍の八はメロディの構成音ということでしょうが、いずれにしてもフレーズとフレーズの間が空いてしまうのを防いでいる感じです。
この短いフレーズを繰り返してつないでいるという曲の構成を含めて考えると、この曲は、童謡に近い感じの歌から派生したものではないかと想像しています。 |